代表取締役 入野 紀子様

(左)代表取締役 入野 紀子様
(右)経営推進室 塚本 那梨亜様
会社HP:https://irinokiko.co.jp/
YRPに進出された時期を教えてください。
2025年10月1日に、株式会社入野機工 YRPイノベーションセンターを開設しました。
本社登記は埼玉県川口市ですが、YRPを「ものづくりの中核拠点」として、技術開発・情報発信、そしてお客様との信頼を結び、技術及びその精度の継承を築く場としていきます。
YRPで進めている事業等について教えてください。
当社は、超高精度内面研削盤を製造するメーカーです。
その背景には、長い年月をかけて横須賀の地で培われた内面研削盤づくりの歴史と豊かな経験があります。
私たちは、その精神と設計思想を受け継ぎながら、現代の制御・計測技術と融合させることで、次の時代にふさわしい精度と価値を生み出しています。
YRPイノベーションセンターでは、「次世代NC機(Numerical Control)(数値制御)」の開発をキックオフしたところですが、これを中心に小型量産用の15型から大径ワークに対する40型まで、多様な内面研削盤のラインナップを、顧客ニーズに合わせて研究・開発していく予定です。
これまでの経験を活かしつつ、制御技術・計測技術・加工データを融合し、YRPを新たな研削技術の「創造と継承を担う拠点」として位置付けています。
YRPを選んだ理由をお聞かせください。
YRPは、私にとって長い間「憧れの場所」でした。
京急EXイン横須賀リサーチパークに宿泊する機会が多く、そのたびに窓の外に広がるYRPの街並みを眺めながら、「いつかここに進出したい」「YRPに来たらこんなことをやりたい」と思いを巡らせていました。
進出前は横須賀市内川に工場を構えていましたが、長年の使用により環境面での制約が多く、次のステージにふさわしい新しい環境を求めていました。
また、従業員の多くが横須賀やその近郊に暮らしており、「横須賀の技術を横須賀に残したい」という強い思いもありました。
もちろん他の候補地も検討しましたが、「クリエーションとプロダクトが共存する場所」としては、やはりYRPしか考えられませんでした。
この強い思いが導くように、私たちはYRPという新たな地と出会うことができました。
通信・研究・創造が共存するこの環境は、私たちにとって「技術の再出発」にまさにふさわしい場所です。
YRPに進出して印象が変わった点はありますか。
良い意味で大きく変わりました。
当初は静かな研究エリアという印象を持っていましたが、実際にはとても開放的で、企業や人とのつながりを感じられる場所です。
10月3日(金)・4日(土)に開催された「YRPオープンイノベーションデー2025」に出展した際には、YRPに進出しているさまざまな企業の皆さんと交流することができました。
ヤマシンフィルタ(株)さんや(株)ニフコさんなど、憧れの企業の方々が当社の実機を見学され、「これからよろしくお願いします」と温かい言葉をかけてくださったことが印象に残っています。
そのとき、「横須賀のものづくりが、再びYRPで動き出した!」という実感を得ることができました。
また、前述のとおりYRPはとてもオープンな場所ですので、一般の方にもぜひ、ランチタイムなどに気軽に訪れていただければと思います。
YRPに進出して良かった点はどこですか。
研究・製造・交流がひとつの場所で共存している点です。
YRPの静かな環境と整ったインフラは、精密加工にとって理想的な条件です。ここで技術を磨くことが、次の時代における信頼の構築につながると感じています。
また、「YRP」というブランドと品格によって、当社に対する顧客からの信頼度がさらに高まったように思います。
加えて、企業や行政、研究者との距離が近く、互いに刺激を受けながら新しい発想を育めることも大きな魅力です。
YRPに今後何を期待しますか。
異なる分野の技術や人が交わり、研究と製造が自然に溶け合う「共創の場」としてさらに発展していくことを期待しています。
特にAIやデータ技術、材料、環境分野など、多様な専門領域がつながることで、より豊かな技術交流が生まれることを願っています。
そして、若い技術者や学生がYRPを訪れ、日本のものづくりの精度と誠意に触れられるような、開かれた環境がもっと広がっていけば嬉しいです。
最後に一言お願いします。
当社は、内面研削の技術と信頼を継承し、誠実な技術と確かな精度で、ものづくりの未来を支えていきます。
受け継いだ技術を再びこの地で息づかせ、YRPから世界へ「日本の誠意と精度」を届けていきたいと考えています。
また、YRPに進出している皆さまには、ぜひ当社を「フィールド」として活用していただければ幸いです。
