第4回 国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学様

名古屋大学大学院理工学研究科 情報・通信工学専攻 准教授 博士(政策・メディア) 
米澤 拓郎 様
研究室HP: https://ucl.nuee.nagoya-u.ac.jp
Internet of Realitiesプロジェクトhttps://internet-of-realities.org/

YRPに研究室を置かれた時期はいつですか

2022年11月です。

YRPで進めている研究について教えて下さい

異なる様々な現実に生きる人々が安心・安全に、楽しく交流し、わかりあえる世界を実現するための情報技術に関する研究を進めています。物質的な現実もそうですし、メタバース等の仮想的な現実もそうですが、それらを繋げないと社会の分断や人々の孤立・孤独化が進んでしまいます。繋げることで新たなサービスも期待できます。そのために、色々な環境を繋げたいという思いで研究を進めているところです。また、ただ繋げるだけでなく、繋いだものに移動できる、かつ、繋いだものが移動できることが大事だと思っているので、自動運転の技術を活用したスマートモビリティの研究も進めています。以前より我々はスマートシティに関する研究をしており、その中で、街と街を繋げることなどを研究していましたので、それをきっかけに今の研究を進めているところです。研究室の活動の詳細や、プロジェクトの詳細はHPをご覧いただけると嬉しいです。

なぜYRPを選んだのですか?

様々なプロジェクトを進める中で、電波を使った実験やロボットを屋内・屋外で動かすような実験を進めたかったということで、それらが出来る環境に拠点を持ちたいという思いがありました。偶然、共同研究などでご一緒させていただいている慶應義塾大学中澤研究室がYRPに研究開発拠点を持ちプロジェクトを進めていることを知り、実際に訪問させていただきまして、ここだ、と思いました。私は出身が慶應義塾大学ということもあり、在任中からスマートシティの研究を進めておりまして、慶應義塾大学が運営する「地域IoTと情報力研究コンソーシアム」の立ち上げにも参加しておりました。現在では名古屋大学もメンバーになっていますが、藤沢市、茅ヶ崎市、そして横須賀市もメンバーとして参加いただいておりまして、自治体の課題共有や課題解決のための取り組みの検討・実施に取り組んでおります。この横須賀市との連携関係、またロボットや電波実験が出来るというYRPが持つ包容力があり、YRPに研究拠点を置くことで効率的に研究を進められるという確信があり、YRPの拠点を持つことを決めました。

進出する前に想像していたYRPと、進出してきた後で、印象は変わりましたか?

学生時代からNTTドコモさんと共同研究をしていたこともあり、YRPのことは知っていましたので、特に大きく印象が変わったという点は無いです。YRPは非日常を感じさせる空間であり、研究に集中でき、そして、リフレッシュも出来る良い環境だと思います。

YRPに進出してよかった点はどこですか?

1点目は、研究に没頭できる点です。YRPは自然豊かで、我々の研究室の窓からは海を望むこともでき、日常と切り離された空間だからこそ、気持ちを切り替えて研究に没頭できる場所だと感じております。研究室の学生も同じで、YRPに来ることを非常に楽しみにしている学生も多いです。
2点目ですが、コロナ禍でも失っていた、ある程度の「移動時間」の大事さに気付かされました。名古屋から横須賀の移動にはある程度時間がかかりますが、逆に移動時間の間に、移動した先、つまり、YRPで取り組むべきこと整理して成果を出す、という気持ちに切り替えられることができます。
最後は、やはり移動ロボットや電波を使った実験のサポートをしていただけることです。横須賀市さんとは実証実験の打ち合わせも開始させていただいており、研究施設から自治体との連携まで一貫した研究開発のサポートは、他の場所にはない特徴だと思います。自動運転系で、我々の研究室の学生が国内のコンペ2部門で優勝しており、こういった取り組みもあって、YRPは実証実験がしやすい環境です。

YRPに今後何を期待しますか?

これだけ多くの大学の研究室が進出してきているので、研究室連携や交流の場を作っていただけると嬉しいです。人とのつながりは、すぐに成果は出ないかもしれませんが、5年後10年後に花が咲くこともありますので、是非そういうことのプロデュースをお願いしたいです。加えて各研究室が進めている活動内容を広く周知していただく機会を作っていただきたいと思います。

最後に一言お願いします

非日常的な空間だからこそ色々なことに取り組める場所です。色々な大学の研究室が進出しているサイエンスパークはそう多くないと思います。多くの大学研究室との共同研究も進められればと思っております。

空間間コミュニケーションを可能にする球体型ロボット装置MetaPo                    https://www.youtube.com/watch?v=JC4mYAypXrU