第8回 国立大学法人信州大学情報・DX推進機構 准教授 情報基盤センター副センター長 単 麟 様
※YRPセンター1番館4F産学官交流センター入居研究室※

2024年4月1日からYRPセンター1番館4Fの産学官交流センターに入居しております。

2013年から10年間、YRPに拠点がある国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)で災害に強い高信頼通信技術、無人機通信制御システム、Beyond5G/6G、地域DX推進テストベッド構築などの研究開発を進めていました。そのため、YRPが無線の研究開発を進める上で最適な環境であることは十分承知しており、YRPであればNICTとの共同研究を円滑に進めることができることから、YRPに研究室を置くことは必然のことでした。

「携帯圏外・中山間地域課題のためのIoTインフラ構築(山岳間電波灯台構想)」を進めています。
信州大学がある長野県は山間部が多い土地柄もあり、今だ携帯圏外地域が全体の8割を占めるという状況です。携帯圏外による地域課題が顕著で、具体的な課題として3つあります。
1点目は、登山者・林業者・高齢者の見守りという点です。
携帯圏外では、登山地域での緊急事態において被災者の位置特定が困難となり、援助活動のタイムロスと捜索の効率性に影響が生じます。
そして、携帯圏外に住んでいる高齢者のライフログの共有が困難となり、安否確認及び安全の確保に問題が生じる可能性があります。
2点目は、山間部防災対策通信手段の不足です。
携帯圏外によって、自然災害の予防に役立てる土砂や水量などの防災情報を正確に把握できない、災害地域の情報を災害対策本部などへタイムりにーに伝達できず、災害対応と救助活動に影響を及ぼします。
3点目は、山岳部への物流輸送手段の不足です。携帯圏外では、ドローン・無人機(VTOL)の機体一情報の把握が困難となり、無人航空機飛行規制による飛行許可に障害が生じます。
このような山岳通信インフラをLPWAやWi-Fi Lowなど次世代IoT技術を駆使して、様々なサービスにつなげていくことを目指したものが「携帯圏外・中山間地域課題のためのIoTインフラ構築(山岳間電波灯台構想)」となります。
令和4年7月に、信州大学は、教育機関・地方公共団体や企業が一体となりデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するための組織として「信州DX推進コンソーシアム」を設立し、この構想の実現に向け活動を進めております。参画団体数は現時点で71団体です。

研究開発に邁進することが出来る自然環境。電波・無線の研究開発を推進している企業・機関などが集積しており、そのような機関等とコミュニケーションをとりながら研究開発を進めることが出来る。このような環境はYRPだけであり、電波実験・研究開発をするには最高の場所である。
ワイヤレステクノロージーパークやYRPオープンイノベーションデーのような、研究成果を発表出来る場を機会があるのは、YRPにいるからこその恩恵だと痛感している。

研究開発の次のステップである社会実装に向けた支援を期待します。研究開発したものを社会実装するためには、一つの大学だけで実現することは難しく、仲間・グループで推進してくことが重要かつ必要です。
YRPには産学官が進出し、連携しているという強みがあるので、仲間づくりや、道筋づくりといった点で協力・支援していただくことを期待します。
YRPビジョン2025は非常に素晴らしいビジョンであり、その成果を期待しています。

YRPは研究開発をする上で最高の場所であり、大好きな場所でありマイホームのような場所です。YRPのますます発展に寄与できるよう、私たちもより一層研究開発を進めていきたいと思っております。