第2回 矢崎総業株式会社 技術研究所
伝送技術研究部
中川 雄太様(2009年入社)
研究者になったきっかけをお教え下さい。
きっかけは、入社時の配属です。入社時に配属先が決まるまで自分が研究者になると思っていませんでした。
研究所で仕事を続けていくうちに、わからなかったことがわかるようになる楽しさを知り、もっと勉強をしたいと思うようになりました。ちょうどその頃、当時連携していた大学の先生から社会人ドクターへ挑戦してみないか?と打診があり、会社からも学ぶ機会を与えて頂いたことで博士号を取得でき、今に至りました。
現在担当されている業務をお聞かせ願います。
車載光通信システムに関する研究に従事しております。弊社の主力製品は、ワイヤーハーネスと呼ばれる電力や情報を伝送するケーブルで、自動車の神経や血管に例えられるものです。ワイヤーハーネスには、電気信号を伝える電線だけではなく、光ファイバを使用し光信号によって情報を伝送するものもあり、20年以上前から自動車には搭載されております。しかし、自動車内では近年の先進運転支援システムや自動運転の進展によって、今後より多くの情報をやりとりする必要があります。このとき、従来の光通信システムと比べ、大容量かつ高品質な信号を伝送できるシステムがより必要になってくると考えております。
仕事を進める上で大事にしていること、モットーなどはありますか。
仕事を進めるうえで大切にしていることは、視野を広く持つということです。ある分野では常套手段であっても、他の分野では新しい手段やあまり注目されていない手段であるとき、その手段が課題の解決につながるヒントになることがあります。そのため、普段から視野を広げ自分の研究と異なる分野の情報でも、どうにか応用できないか?という意識で広い視野を持つことが大切だと考えております。実際に、私は今光通信システムの研究をしておりますが、以前はアンテナの研究に従事していました。また、自動車に搭載するという特殊な環境を考慮すると、従来の光通信システムとは異なる性能が要求されるため、異なる分野での知識や経験を活かした柔軟な発想で、新たな技術の構築に生かしたいと考えております。
これまで仕事していて楽しかったことや、苦労されたことはありますか。
アンテナ間で電波が干渉しない通信システムを研究開発した経験です。電波は目に見えない為、対策が必要な箇所を特定することに苦労しました。また、干渉を抑えるため様々な手段を試しても結果につながらず辛い経験ではありましたが、苦労した分目標とする数値を達成した時は嬉しかった事を覚えています。
居住地である横須賀について思うことはありますか。
自然に恵まれて温暖で住みやすく、そして、海の幸・山の幸も豊富で、非常に住環境は素晴らしいと感じております。
電車を利用すれば1時間程度で都内や羽田空港、新幹線に乗れる新横浜にもアクセスできるので交通の便も良いところです。
仕事環境という側面でも、四季折々を感じることが出来るYRPはとても良い環境だと感じております。
YRPで働いていて思うことはありますか。
情報通信分野に限らず、近年ではさまざまな分野の企業や機関が集まっており、連携や協業が可能なことが良い点だと考えます。実際に弊社もYRPに進出している機関と連携しております。また、冒頭でお話いたしました社会人ドクターにつきましても、横須賀市内の防衛大学校で学び、学位を取得しました。防衛大学校はYRPに進出している機関ではありませんが、横須賀市内のこのような機関との連携もあります。今後、さらにYRPに進出する企業、機関が増えれば交流もより活発になると思いますので、昨年の9月に開催されたオープンイノベーションデーのような企画を積極的に行い、YRPを宣伝して頂きたいです。
今後の抱負や目標などをお聞かせ下さい。
次世代の車載通信システムの開発により、未来のより良いクルマ作りに貢献したいと考えております。また、矢崎グループでは『つなぐ』をコンセプトに自動車用のワイヤーハーネスだけではなく、電線やガス機器など様々な製品を開発しております。そのため、クルマだけではなく、より身近なところで世の中の役に立つと感じていただける技術も開発したいと考えております。