子供のころはゲームを作ってみたいと思っていました。そのころから、「モノづくり」に興味があったのだと思います。決定的なきっかけは、大学の研究室での指導教官に出会ったことだと思います。
指導教員はNTTドコモ出身で、3G・FOMAの研究開発を推進されていた方でした。
その指導教員が常日頃仰っていた、無線通信というのが様々な産業の基盤になっていく一方で、色々な場面で無線通信が使われることにより、通信トラフィック(※インターネット接続回線などにおいて、一定時間にネットワークを流れるデータ量)が増えていくが、これを効率的に収容できるシステムの実現を誰かが成し遂げなくてはならないという言葉に影響され、研究者を目指すようになりました。
研究者になるという志を持って大学院に進み、様々な学会などにも参加しました。学会では、様々な大学・企業の研究者の人たちと共にディスカッションを重ねていくことが多かったのですが、その中で研究者への憧れ、研究者になりたいという気持ちが強くなっていきました。

次世代移動通信システム6Gの確立・実用化に向け、8人のチームメンバーと、そしてNTT持株研究所、国内外の装置ベンダと共に、日々研究開発活動を進めています。

大事にしていることとして3点あります。
1点目は「当たり前を疑う。そして、疑問を持って進める」ということです。

技術は過去から積み重なっていくものなので、過去の技術とその経緯を理解した上で、将来のシステムに向けてそれらがどうあるべきかを考えていく必要があります。

2点目は「仲間づくり」ということです。
研究開発を進める上で、実験装置開発や国際標準化を踏まえると、ドコモだけで進めることはやはり難しいです。装置ベンダ、大学など様々なプレーヤーとディスカッションを重ね、技術検討を重ねていく中で、新たな技術が確立されていくことをこれまでいくつも経験しております。そのため、「仲間づくり」も大切にしていることの1つです。

そして、3点目は「準備」です。
何をする上でも準備は必要ですが、この準備という作業を丁寧にすることで、成果につながっていくと思っています。例えば、実験装置は、実験開始の1年以上前から開発を始めるので、あらかじめ何の技術をどのような実験結果で世界に魅せていくのかを組み立てて計画していく必要があります。そのため、「準備を丁寧にする」ということも肝に銘じて研究開発に取り組んでいます。

若手社員のときに従事させていただいた5G実証実験の立ち上げの経験です。研究開発という仕事柄、実験装置を使って様々な実験や試験を重ねていくのですが、実験装置が不安定で思うように立ち上がらないとか、実験が上手くいかなかったときに、電波が目に見えないという特性上、原因追及にものすごく時間が掛かりなかなか前に進めないなど様々な苦労はありました。
ただ、様々な苦労や失敗を重ねた結果、実験が成功して世界初の技術の立証が認められたことは、大変嬉しかったです。
実験が成功した際、上司は飛び上がって喜んでいましたが、私をはじめとするチームメンバーは、安堵感が先行し、あとからじわじわと喜びの気持ちが沸いてきた感じでした。

横須賀市内に住んでおりますが、自然環境に恵まれており、海の幸、山の幸が豊富など、非常に住みやすい場所だと感じております。私自身は就業場所がYRPなので車通勤ですが、家族は都内まで電車で通勤しています。横須賀を知らない人は、横須賀から都内は遠いという印象があるかもしれませんが、京急で品川まで1時間足らずでいけますし、全く不便さを感じておりません。

YRPは周りが山に囲まれているため、電波実験をする上で他システムに干渉しにくく、最高の環境であることを常に感じています。これ以上の環境は無いかと思います。
折角の環境を更に生かすため、YRPの事務局には、関係省庁との調整をしていただきたいと思っております。
そして、折角の環境があるにも関わらずPRが足りない気がします。もっとPRをして、様々な企業・機関の進出を促し、そして、学生がYRPに目を向けるような工夫をしていただければと思います。

次世代通信システム6Gを実用化させ、サイバー空間と現実空間を融合した新しい社会の確立、社会のさまざまな課題の解決、そして、地上だけではなく、海・山そして宇宙にも確実に通信が可能なエリアを拡大していきたいと考えております。
ドコモは、YRPの研究開発拠点で、このような最先端の技術開発を日々進めております。
スマートフォンやタブレットといった、今や生活に不可欠な通信機器には、ドコモが生み出した世界初の技術がたくさん詰まっています。横須賀・YRPにこのような研究開発拠点があることを身近に感じていただき、将来YRPで働いてみたいと思っていただける子供たちが増えると嬉しいです。